この法人は、1961年4月に創立されたアジア・アフリカ研究所の研究・啓蒙活動を受け継ぎ、広くアジア・アフリカ・ラテンアメリカ(AALA)諸国の政治、経済、社会、文化およびAALAをめぐる世界政治と世界経済上の諸問題について、理論的研究、現状分析(情勢分析)の両方面から共同研究・調査・啓蒙を行い、これによって、日本におけるAALA研究水準の向上およびAALA諸国民との友好・協力に貢献することを目的とする。(法人定款 第三条)
This corporation, inheriting the activities of research and education from the unincorporated Afro-Asian Institute of Japan which was founded in April 1961, has the following objectives: To conduct joint research, survey and education on both theories and practices of politics, economies, societies and cultures in a wide range of nations in Asia, Africa and Latin America (hereafter referred to as AALA) as well as of AALA-related problems in world politics and world economy; and hereby to contribute to the enhancement of AALA research in Japan and the promotion of friendship and cooperation with AALA peoples. (AAIJ Statute,Article3)
草の根の研究所へようこそ Welcome to the Grass-Roots Institute
アジア・アフリカ研究所は1961年、第二次世界大戦後の脱植民地化の波がアジアからアフリカへひろがるなかで設立されました。アジア・アフリカ・ラテンアメリカ(AALA)における「民族独立、平和、経済的繁栄、社会的進歩をめざす諸民族の歩みが世界史の画期的な転換をうながす重要なエネルギーの一つであるとする立場」からと『月刊アジア・アフリカ研究』「創刊のことば」は述べています。
以来半世紀、アジア・アフリカ研究所は世界の弱者の視点で研究と教育をおこなってきました。非政府・非営利の草の根の研究所は、小さいながらも、研究調査機関誌『アジア・アフリカ研究』(月刊および季刊)を発行しつづけ、ベトナム戦争中にはベトナムの独立と統一を支援して膨大な『資料ベトナム解放史』全3巻を刊行、中国「文化大革命」の動乱期には当初から異議を唱えるなど、内外の圧力に屈することなく自由な研究の場として機能することができました。
アジア・アフリカ研究所は創立時から、広大な地域AALAを学際的に研究すること、AALAの政治、経済、社会、文化と世界の政治、経済の相互依存性を解明すること、さらに理論研究と現状分析を結合することを志向してきました。しかし、小さな草の根の研究所には史資料へのアクセスや現地調査の実施などの面でさまざまな困難があり、「手弁当」で集まる研究者、学生、市民の人数にも限りがありました。研究所の研究水準が、研究課題の大きさに比して十分であったとはいえません。
20世紀後半、植民地体制の崩壊と社会主義世界体制の解体を経て、世界の政治・経済秩序は大きく転換しました。EUをはじめとする広域の経済協力、経済統合が進み、国境の壁は低くなってきました。植民地から脱して発展途上国と呼ばれるようになった「南」の国ぐには開発の過程で分化し、発展軌道にのって先進国入りする旧植民地が出現する一方、富裕国・貧困国を問わず国内の貧富の格差が拡大し、国家や民族の視点だけでは現実をとらえきれなくなってきました。人間活動と地球環境のバランスは大きく崩れ、環境問題は解決に向けて一刻の猶予も許されない段階に入っています。
資本の運動に主導された「グローバリゼーション」は2008年、百年に一度とも形容される米国発の世界金融・経済危機をもたらしました。アジア・アフリカ研究所は世界危機への短期の対応策、長期の解決策を提起するとともに、「グローバリゼーション」のもう一つの側面、人や文化の交流が世界の平和と発展につながることを希求し、AALA 研究・教育の向上とAALA諸国民との友好に努めてまいります。趣旨に賛同してくださる方がたのご参加、ご協力をお待ちしています。
アジア・アフリカ研究所は1961年4月に設立され、21世紀初年の2001年4月創立40周年を迎えました。
20世紀後半は、植民地体制の崩壊と社会主義世界体制の解体を経て、世界の政治・経済秩序が大きく転換した時期でもありました。
アジア・アフリカ研究所はこの激動のなかで、大国主導の植民地体制下に他律的な支配=従属関係の受容を強いられてきたアジア・アフリカ・ラテンアメリカ(AALA)諸国が、その他律性をいかに克服し、新たな発展の道をいかに探求するかに視点をあわせて考究するとともに、アジア唯一の先進資本主義国である日本がはたすべき役割について熟思してきました。
また、グローバリゼーション、すなわち多国籍企業の展開を基軸とする資本主義世界システムの地球大の拡大に関しては、その特質の解明やグローバル化と国民国家および労働・市民運動等の考察に努めてきました。
アジア・アフリカ研究所は、非政府・非営利の学術組織として、この間『アジア・アフリカ研究』誌(月刊および季刊)を発行しつづけ、ベトナムの独立と統一を終始支援して膨大な『資料ベトナム解放史』全3巻を刊行するなど、それぞれの時点で内外のいかなる圧力にも屈することなく、自由な研究の場として機能しえたことを心から誇りとするものであります。
1961年5月、本誌「創刊のことば」は次のように述べています。
「このたび、われわれアジア・アフリカ・ラテンアメリカの研究、調査を専門とする学者、研究者有志が相寄り相集まって、"アジア・アフリカ研究所"を創立した。
本研究所は、このAALA三大陸における民族独立、平和、経済的繁栄、社会的進歩をめざす諸民族の歩みが世界史の画期的な転換をうながす重要なエネルギーの一つであるとする立場から、AALA諸国の政治、経済、社会、文化およびAALAをめぐる世界政治と世界経済上の諸問題について、共同研究の方法を基礎として、(a)理論的・基本的諸問題の研究、(b)現状分析(情勢分析)の両方面から研究調査を行ない、これによって、日本におけるAALA研究水準の向上、およびAALA諸国人民の連帯の強化にいささかなりと貢献しようと考えている。
本月報、すなわち、月刊"アジア・アフリカ研究"は、以上のような本研究所の目的にしたがって刊行される研究調査機関誌である。
われわれ所員一同は、できるだけ早い期間内にわれわれの共同研究の成果が誌上に反映されるような努力をしていくつもりである。
また、同じ情勢分析をするにしても、単なる時事解説でなく、多少とも基本的研究の角度から分析していくことを心がけているつもりである。
読者の方々のご批判をいただきつつ出来るだけいい誌面にしていきたいと念願している。」
今般、アジア・アフリカ研究所は、特定非営利活動促進法に基づく法人として認証され、任意団体から特定非営利活動法入(NPO法人)に移行することとなりました。特定非営利活動法人 アジア・アフリカ研究所は、本誌「創刊のことば」の精神に沿って、法人定款で定められたAALAとAALAをめぐる諸問題に関する共同研究・調査・啓蒙活動を実施し、これによって日本におけるAALA研究水準の向上およびAALA諸国民との友好・協力に貢献することをめざします。
上記のようなアジア・アフリカ研究所の目的と歩みをご理解くださる方がた、ことに若い世代の皆さんが共同の研究調査等に積極的に参加されることを期待いたします。
2007年3月
特定非営利活動法人アジア・アフリカ研究所
(あいうえお順、2020年7月25日現在)
太田和宏 | (神戸大学大学院人間発達環境学研究科教授) | |
大津健登 | (編集担当、九州国際大学現代ビジネス学部准教授) | |
岡野内正 | (編集担当、法政大学社会学部教授) | |
風間理紗 | (事務担当、アジア・アフリカ研究所会員) | |
河合恒生 | (岐阜経済大学名誉教授) | |
後藤政子 | (神奈川大学名誉教授) | |
編集長 | 重田康博 | (宇都宮大学国際学部教授) |
鈴木規夫 | (愛知大学国際コミュニケーション学部教授) | |
鄭 章淵 | (駒澤大学経済学部教授) | |
所 康弘 | (明治大学商学部教授) | |
長島怜央 | (副編集長、平安女学院大学国際観光学部助教) | |
代表理事 | 中野洋一 | (九州国際大学名誉教授) |
平井文子 | (アジア・アフリカ研究所会員) | |
福島浩治 | (編集・ホームページ担当、駒澤大学経済学部准教授) | |
田巻松雄 | (宇都宮大学国際学部教授) | |
藤本 博 | (元・南山大学教授) | |
松尾昌樹 | (宇都宮大学国際学部准教授) | |
松下 冽 | (立命館大学名誉教授) | |
文 京洙 | (立命館大学国際関係学部特任教授) | |
山中達也 | (編集担当、駒澤大学経済学部専任講師) |
List of Officials (in alphabetical order, as of July 25, 2020)